古民家

築100年以上の古民家が軒を連ねる仲庭地区は、伝統的建造物として学術的に価値の高いカズ掛け造りの古民家群が残っている
十数年前に学術調査が行われ、中庭地区全体を文化財指定できると判断されたが、地区内の話し合いの結果、高齢化が進む中で、文化財として保存することは困難であると判断、残念ながら文化財指定を断念することになった。
しかし、富岡製糸場が世界遺産に登録されたことで、蚕の生産地であった星尾集落に、昔のままの養蚕古民家群が残されている事実は、地域最大の学術的遺産として、後世に引き継いでいくことが重要である。
石垣信仰


砥石や椚石など南牧村は石の村である。石は産業のみならず、南牧谷の生活にしっかり密着してきた。南牧村は平地の無い村であり、すべてを住宅・農地・道路擁壁・川の護岸などすべて石垣を積み上げ生活基盤を作り上げてきた。
「石垣を組めなければいい百姓になれない」と言い伝わるほどで、村人は山を削り石垣を積み、天に向かうように山を上へ上へと登っていった。傾斜地で生活するための知恵である。村内の道路際の石垣にはほぼ椚石が使用されているが、地質上様々な石が採掘できる南牧村では石垣のデザインや色も多種多様である。
星尾の金石、大仁田の赤石、磐戸の椚石、砥沢の砥石の屑石等、場所によってさまざまな顔の石垣が見られる。特に星尾の大上では、険しい山に抗わず、山に寄り添って生き、自然と人との調和がとれた暮らしを雄大な石垣と共に見ることができる。また、歴史的にも貴重な古民家が多く残り、山と共に生きる日本の原風景を偲ばせる。
その他、羽沢、熊倉、大塩沢沢、小塩沢、と、村を彩る景色に限りがない。
石一つだ。また、人の足がとどかないこと、汚れないことで、5月には二本の杭を打ちち込み、その上にサン俵を乗せ、疱瘡の神様を祭る。疱瘡とは昔から大流行することのあった感染症である。また、茶碗が割れた際には、生活を支えてくれた道具への供養するため、汚れない石垣の穴に収めた。